「クレジットカードで公共料金は支払えない!」
…と、そう思っている人は少なくありません。
しかし、今ではそのほとんどでクレジットカードの支払いは可能です。
(※ 全て可能というわけではなく一部未対応の場合もあり。)
とある調査では、公共料金をクレジットカード払いにしている人は、調査対象者の半数以上になったというデータも明らかにされていますね。
公共料金をクレジットカードで支払えば、支払いをスリムに一元化することが可能で、おまけにカード決済分のポイントが付与されるといったメリットもあります。
…ただし、純粋な「収支の損得」を考えてみると、何でもかんでも全ての公共料金をクレジットカード払いにしない方がいいケースも…。
カード払いによる資金管理のしやすさやポイント付与は嬉しいんですけどね。
でも、いくらポイントを多く貰えたとしても、ポイント重視の方が損になるのであればそれは本末転倒と言えるでしょう。
公共料金をクレジットカードで支払うとき、どうすればお得になるのか?
その基礎知識や注意点などをと一緒に有効活用できる方法を掲載しているので、今後の参考としてご覧頂ければと思います。
公共料金のカード払いの損得
まずは定番のメリット・デメリットをまとめているのでチェックしていきましょう。
カード払いのメリットとは?
獲得ポイントや資金管理面で有利なクレジットカード払いのメリットとは?
還元率によるポイントの獲得
クレジットカードを公共料金の支払いに利用するとき、やはり大多数の人が主目的とするのが「ポイント還元」ではないでしょうか?
公共料金の支払いにクレジットカードを使えば、その「使用料金額&ポイント還元率」に応じ、ポイントを獲得できるというメリットはやっぱり大きいです。
使用料金についてはどんなに節約を心掛けても、絶対に一定の金額は必要になってくるため、どうにもならないところはありますよね。
また、世帯人数が増えれば使用量も増えるので、それを多少なりとも節約できる手段にできるなら、クレジットカードのポイント還元はやっぱり嬉しいところ。
肝心のポイント還元率は使用するクレジットカード次第なので、可能な限りポイント還元率が高く、かつ有用性の高いものを選び抜きたいですね。
支払いの一元化で管理しやすい
預金明細をチェックするとき、電気料金がいくらで水道料金がいくらで…と、口座引落のタイミングも異なるためバラバラでチェックしづらいことも…。
クレジットカードで支払った場合はカード発行会社が一旦立て替え、後日まとめてユーザーに請求するという形になります。
そのため、預金明細上では一元化されているので非常にスリムな状態になり、資金管理においてもパッと見で確認しやすくなります。
また、これなら口座引落のタイミングも一本化されるので、資金を準備しておけばいいタイミングもはっきりしやすいですね。
クレヒスを作ることができる
クレヒスとは「クレジット・ヒストリー」のこと。
クレジットカードやローンなど個人の信用情報に関する取引の履歴で、信用情報機関に記録されている個人情報の一種です。
例えばクレジットカードを使った取引(買い物や毎月の支払い)で延滞をしていないか、そもそもクレジットカードを使用しているかなどが記録され、この履歴に金融事故で傷がつくと、いわゆる審査落ちといった事態に陥ったりするわけですね。
こういったリスク回避に利用されるのがクレヒスです。
今後もカード発行や住宅ローンなど、信用情報に一切関係のない生活をしていくのであれば無縁となりますが、少しでも可能性があればその備えとして優良なクレヒスを作るために利用しておくこともひとつの手段としてすすめられます。
…ちなみに、クレジットカードを全く使用していない人は「スーパーホワイト」と呼ばれており、こういった人は逆に判断するに足るクレヒスがなく、それが審査落ちの要因になることもあるので注意が必要です。
カード払いのデメリット
100%全てメリットのみであれば言うことはありませんが、やっぱりクレジットカードで支払うことにもデメリットになることはあります。
そのメリットとデメリットをしっかりと天秤に掛け、公共料金の支払いに利用するかを判断するようにしましょう。
まとまったお金が必要になる
カード払いによる一本化は一見すると便利そうですが、実はデメリットになってしまうこともあるので注意しておきましょう。
支払いをまとめられるということは特定の日にカードの引落が発生することになるため、ある程度まとまった資金が必要になります。
管理面においてはスリムになってスッキリとしますが、その分資金繰りにはちょっと注意が必要になるケースも。
これは資金管理をしっかりできる人には大したデメリットにはなりませんが、苦手な人にとっては特定日のまとまった引落はネックになるかもしれません。
人によってはタイミングを分散できるように、2枚や3枚など複数枚のカードで管理しておく方法もおすすめです。
カード払いで損になるケース?
「ポイントが付与されるならカード払いがお得じゃん!」
…と、飛び付きたくなるところですが、カード払いによるポイントの付与よりも、各社が実施する「割引特典」などがお得になる場合もあるので比較検討は必要。
代表的なところで言うと、電力会社では「口座振替割引」を実施している会社が多いです。( 一部実施していない電力会社もあり。)
電気使用量が一定以上であればクレジットカードのポイント還元はお得になりますが、毎月の使用量が少ない場合は口座振替割引の方がお得になる可能性も。
特に単身世帯の方で自宅で過ごす時間が短いという人は、口座振替割引の方がお得になりやすいかもしれません。
口座振替割引とクレカの試算
せっかくなので前項目の話をもう少し掘り下げておきましょう。
電力会社で口座振替割引を実施していないところであれば、支払方法は比べるまでもなくクレジットカードがお得になるでしょう。
しかし、クレジットカード払いで付与されるポイントと、電力会社の口座振替割引のどちらがお得になるかは毎月の使用量やポイント還元率によって違ってくるため、一概にどちらと言えるものではありません。
目安になるであろう一覧を作成しているので、よければ参考までにご覧ください。(割引金額は54円、ポイント還元率は「+1.0%」で試算。)
電気料金 | 割引 | ポイント |
---|---|---|
月3,000円 (年36,000円) |
月54円 (年648円) |
月30P (年360P) |
月5,000円 (年60,000円) |
月54円 (年648円) |
月50P (年600P) |
月8,000円 (年96,000円) |
月54円 (年648円) |
月80P (年960P) |
月10,000円 (年120,000円) |
月54円 (年648円) |
月100P (年1,200P) |
月15,000円 (年150,000円) |
月54円 (年648円) |
月150P (年1,500P) |
現状ではどこの電力会社でも口座振替割引は「54円割引」となっているため、ポイント還元率+1.0%であれば、月使用料金5,400円が損益の分岐点になるでしょう。
(※ 還元率+0.5%なら10,800円、還元率+1.2%なら4,500円。)
…ただし、クレジットカードの使用は支払いの一元化や信用情報の話も絡んでくるため、単純な金額だけで判断しないほうがいい場合もあるので、可能な限り総合的に判断しておくのがよさそうですね。
…ちなみに、水道料金でも口座振替割引を実施しているところがあります。
電気料金の場合と同じく使用量と還元率によって損益分岐点は異なるため、同じような方法で比較してみるのがおすすめです。
世論調査でも年々増加中?
さて、ここまでの解説で公共料金をクレジットカードで支払うことにはメリットがあり、ちょっとした節約にもつながることをご理解頂けたと思います。
…でも、「カード払いじゃないのは自分だけ?」と心配することはありません。
年々増加中ではあるものの、みんながみんなカード払いを選んでいるというわけでもありません。
金融広報中央委員会が運営する「知るぽると」というサイトに掲載された「家計の金融行動に関する世論調査(2018年)」では、2人以上の世帯では口座振替75.2%、クレジットカード32.9%とクレジットカードの利用割合はまだまだ高いとは言えません。
しかし、これに対して単身世帯の方はというと、口座振替は47.3%、クレジットカードは53.5%とカード払いの方が多いという結果に。
2人以上の世帯においても年々その差は小さくなっており、このままの状態が続けばいずれは逆転するものと推察されます。
このように徐々にではありますが、公共料金の支払いにおいてクレジットカードを選ぶ人は増えているようです。
公共料金向きのクレジットカード
せっかくの機会なので、公共料金の支払いに使うならどのクレジットカードがお得なのか…についても触れておきたいと思います。
公共料金の支払い用とはいえ、クレジットカード選びで注目すべき点はポイント還元率だけではありません。
…が!
それでもやっぱりポイント還元率が高いクレジットカードというのは、他を差し置いても優先的にチェックしておきたい最重要事項ですよね!
一般的なポイント還元率といえば+0.5%程度ですが、還元率の高いもの…いわゆる高還元率になってくると「+1.0%」になってきます。
「たった0.5ポイントの違い?」…と思うかもしれませんが、還元率が0.5ポイント違ってくると年間でどれだけ違ってくる…というのが以下の一覧でも分かると思います。
公共料金 (年間) |
P還元率 (+0.5%) |
P還元率 (+1.0%) |
---|---|---|
12万円 (月1万円) |
600P | 1,200P |
24万円 (月2万円) |
1,200P | 2,400P |
各種の使用料金とポイント還元率が多くなるほど、獲得できるポイント数もかなり違ったものになってきますね。
最初に手続きを済ませれば長期に渡って自動的に獲得できるポイントなので、コストが多い人ほど早めに手続きしておいたほうがいいでしょう。
…前置きが少し長くなりましたが、高還元率を魅力とするおすすめの3選を紹介したいと思います。
提携店舗が増加したdカード
携帯電話でお馴染みのドコモが提供している「dカード」。
気になるポイント還元率は「+1.0%」。
dカードを利用することで貯まる「dポイント」ですが、実は以前はやや使い道の少なさがデメリットになる部分もありました。
しかし、今ではローソン、マクドナルド、ドトール、マツモトキヨシなど、提携店舗がかなり充実してきたことによりdポイントを使いやすい環境が整ってきたため、dポイント特有のデメリットはかなり解消されたといえるでしょう。
以前はやや低めに見積もるしかなかった「ポイントの実価値」も、今では一般的な共通ポイントとして十分に利用可能なため、そういった意味も含めて公共料金の支払いで利用するカードとしても悪くない1枚となっています。
…ちなみに、もうひとつdカードのデメリットを挙げるとすれば、それは年会費無料ではなく「年1回利用で年会費無料になるタイプ」であること。
(※ 年1回の利用で年会費1,350円が無料に。)
利用するカードが年会費無料かどうかというのはかなり注目度の高い項目で、そういった意味でdカードの年会費については気になる人もいるのではないでしょうか。
しかし、dカードは公共料金の支払いで利用した場合でも年1回の条件クリアになるため、dカードのデメリット解消にもなるのです。
還元率1.2%のリクルートカード
ポイント還元率+1.0%というのはそれだけでも高還元率といえます。
最近では競争激化でそういったところは増えていますが、それでも+1.0%というのはお得な還元率の目安といえるでしょう。
そのお得な高還元率を超えてきたのがリクルートカードです。
条件なしの年会費無料に加えてポイント還元率+0.2ポイントの差…、他社ができないことをやっている意義は大きいといえるでしょう。
ポイント還元的にはしっかりチェックしておきたい1枚ですね。
…ちなみに、リクルートカードを利用することで付与されるリクルートポイントも、以前はかなり使い道の少ない…「実ポイント価値」の低いポイントでした。
(※ 人気サイトとして定着している「じゃらん」はいいとして、ホットペッパーやポンパレモールなど全体的に見ると使い道は少なめ。)
しかし、今ではPontaポイントとの相互交換も可能になっており、以前よりずっと使い道に困ることは少なくなったと思います。
(※ Pontaポイントはdポイントに交換可能で、「公共料金支払い&ポイント交換前提」であればdカードよりdポイントが貯まりやすいことになります。)
一応リクルートカードを利用する場合は、自分にとってリクルートポイントやPontaポイントの使い道があるかを先にチェックしておくのがいいでしょう。
ポイントとの相性が合えば高還元率で間違いなく便利なカードなので、公共料金の支払いにも使いやすい1枚になると思います。
関連記事:「ポイントの価値に注意…リクルートカードのデメリットとは?」
楽天市場でお得な楽天カード
汎用性の高い高還元率カードといえば楽天カードはやっぱり外せませんね。
還元率+1.0%のdカードや、+1.2%のリクルートカードなど、ポイント還元率の高さだけで絞ってみても選択肢は以前より増えてはいます。
しかし、なんと言っても利便性の高い楽天市場をはじめ、楽天トラベル、楽天ブックス、楽天モバイルなど、ポイントの使いやすさまで考えると「実ポイント価値」は高くなるため、楽天カードの優位性は高く考えてもいいと思います。
また、楽天カードは楽天市場でのポイント還元率が「+2.0%」とお得になっており、楽天市場のポイント倍率を高める「SPU」にも関係してきます。
- SPUとは?
- SPUとは「スーパー・ポイント・アップ・プログラム」の略称。特定の条件をクリアするとポイント還元率が+1.0%アップといった感じでお得になるシステム。楽天カードの場合は楽天カードの引落先を楽天銀行に指定すること。
楽天ユーザーであれば実質的な利用価値はグッと高まるため、公共料金の支払いでも楽天カードを使う選択肢はかなりおすすめです。
関連記事:「お得術!楽天カード入会ポイントを2重取りする作り方」
契約自体を切り替える選択肢
ここからはちょっと視点を変えた話。
そもそもなぜ公共料金をクレジットカード払いにするのでしょうか?
楽天インサイトの「クレジットカードに関する調査」においても、クレジットカードを使う理由として最も多いのは「ポイントが貯まるから」で「25.2%」となっています。
ポイントを貯めるためのクレジットカード…それだけ多くの人が節約を意識した手段として考えているというわけですね。
つまり、ポイントによる節約効果もありがたいところですが、おおもとの使用料金そのものが安くなればそれに越したことはありません。
電力自由化と電力会社の選択
2016年4月より開始された「電力の自由化(電力の小売前面自由化)」により、電力会社を消費者が選択できるようになりました。
これにより新たに参入する企業が増え、競争による電気料金の低コスト化や選択の自由がユーザーにもたらされたのです。
従来は大手の○○電力を利用するのが定番と寡占状態になっていましたが、そういった時代は終わりを告げたことになりますね。
「電力会社を変更しても大した節約にならないのでは?」
…と質問を受けることもあります。
これは確かに最重要ポイントですよね。
電力会社の一括見積もりを行なっている「でんきの比較インズウェブ」が2018年に行なった調査では、電力会社を変更したことによる年間節約金額は「13,000円以上」という結果も明らかにされています。
調査結果の内訳は以下の一覧をご覧ください。
世帯構成 | 年間節約金額 |
---|---|
3人以上 | 17,914円 |
2人 | 12,492円 |
単身 | 4,223円 |
全体 | 13,033円 |
当然ながら世帯人数による違いがあるため、単身世帯での節約効果はあまり大きく期待はできませんが、世帯人数が多くなるほどその節約効果は大きいですね。
続いては年間節約金額別にまとめられたデータもあるのでご覧ください。
年間節約金額 | ユーザーの割合 |
---|---|
1万円以下 | 38% |
1~2万円 | 27% |
2~5万円 | 22% |
5万円以上 | 13% |
2万円以上安くなった人は2割以上!
5万円以上安くなった人はなんと1割以上!!
当然ながら誰でも必ず安くなるといった方法ではありませんが、世帯人数が多かったり電気使用量が多い人ほど一括見積もりしてみる価値はありそうですね。
電力会社の変更と併せてクレジットカード払いを利用すれば、さらに節約効果が高まるのでおすすめです。
…これまでは節約の手段として支払方法だけを検討するのが一般的でしたが、これからはサービス自体もしっかり考えて選んでいきたいところですね。
関連記事:「10倍以上の重ね取り!お得な楽天ポイントの貯め方」