ドコモといえば自社発行のクレジットカード「dカードGOLD」の所有で、携帯電話料金に対して「+10.0%のポイント還元」という非常に魅力的な特典がありますよね。
ドコモの携帯電話料金を負担に感じている人は少なくないため、実質1割引に相当するポイント還元となれば、dカードGOLDはドコモユーザーにとって最適の1枚に思えるのではないでしょうか。
…しかし、この話はそう単純なものでもありません。
ドコモユーザーが携帯電話料金の支払いに選ぶべきクレジットカードとは?
今回はそんなテーマについて書いています。
dカードGOLDの基本情報
まずはこの話の基本となるdカードGOLDの基本情報から。
ドコモユーザーにとって大きなメリットになるdカードGOLDの特典と言えば、携帯電話料金に対する大幅なポイント還元でしょう。
気になるそのポイント還元率はなんと「+10.0%」!
dカードGOLDを所有するだけで、ドコモの毎月の携帯電話料金を実質1割引にするというのだから、それだけでもこのカードを持つお得感は大きい。
…そこで要チェックになるのがdカードGOLDの年会費です。
dカードGOLDの年会費は初年度から税抜き1万円が必要となっており、2年目以降もずっと同額の年会費が必要になります。
総合的に使いこなせればお得な1枚ではありますが、ポイント還元率だけを重視している人であれば、この年会費はかなり気になるコストになるでしょう。
dカードGOLDの特典&年会費
前項目でdカードGOLDの基本情報について書きましたが、ではもっと具体的にどれたけの利用料金であればdカードGOLDはお得になるのでしょうか?
…それはずばり「9,000円」が目安。
dカードGOLDの年会費である1万円を回収するためには、携帯電話料金だけで1割還元する計算でも、毎月9,000円の利用金額が必要になります。
(※ 毎月9,000円×特典還元10%=900円分のdポイント。そして900ポイント×12ヶ月=年間獲得10,800ポイント…となります。)
携帯電話料金だけで試算してもなかなかの金額になってしまいますね。
ここではあくまで単純計算ではありますが、携帯電話料金と年会費のみで考えると取り戻せる利用料金はそこそこの金額が必要というわけです。
特典は厳密には10%ではない?
ドコモユーザーであれば、dカードGOLDの「携帯電話料金のポイント還元+10.0%」という特典には非常に魅力を感じてしまいますよね。
しかし、この「+10.0%」という表現は実はあまり正確な表現ではなく、厳密には最大で+10.0%と考えておいた方がいいかもしれません。
…というのも、この特典でネックになるのは「100円で10ポイント」の+10.0%還元ではなく、「1,000円で100ポイント」の+10.0%還元であること。
例えば携帯電話料金が10,000円のときに付与されるポイントは1,000ポイントですが、9,999円のときに付与されるポイントは900ポイントになってしまうわけです。
携帯電話料金 | ポイント付与 | 還元率 |
---|---|---|
20,000円 | 2,000P | +10.0% |
19,999円 | 1,900P | +9.5% |
9,999円 | 900P | +9.0% |
4,999円 | 400P | +8.0% |
携帯電話料金が大きいと、料金に対して切り捨てになる金額の割合が小さいため、それほど気になるような目立った数字にはなりません。
しかし、携帯電話料金が小さくなるほど、料金に対して切り捨てになる金額の割合が大きくなってくるため、これにより実際のポイント還元率は思ったより減ってしまうことがあるので注意が必要となります。
…とはいえ、切り捨てになる部分が大きかったにしても、そもそも超高還元率であることに違いはありません。
もちろん携帯電話料金の金額次第ではありますが、そういった条件をクリアできれば最有力候補のカードではあるんですよね。
ドコモの携帯電話料金について
dカードGOLDのメリットは携帯電話料金に対するものだけではありませんが、これに対して+10.0%の還元となれば「携帯電話料金がいくらか?」というのはやっぱり大きな要素になってきます。
料金は契約内容や利用状況よって大きく違ってくると思いますが、こういった内容についてリサーチを行なっている「株式会社MM総研」の調査資料があります。
これによると、MNO3社(ドコモ、au、ソフトバンク)の平均携帯電話料金は「5,680円(端末代を除く)」であることが明らかにされています。
(※ 参考:「携帯電話の月額利用料金とサービス利用実態(2018年9月時点)」 株式会社MM総研)
この平均値だけで一概に言うことはできませんが、それでもおおよそ多くの人にとって携帯電話料金だけで年会費を取り戻せるほどの利用料金には、到達しない可能性があるかもしれないということ。
(※ 端末代金を含む平均金額は7,630円ですが、端末代金についてはdカードGOLDの+10.0%付与の対象外となっているのでご注意!!)
…一見するとdカードGOLDの特典は確かに魅力的。
しかし、このデータからも明らかなとおり、携帯電話料金だけで考えるとdカードGOLDの年会費は負担になるかもですね。
年会費をカバーできるだけの利用料金、もしくは総合的にメリットを活用できない場合は発行を控えた方がいいかもしれません。
携帯電話料金の支払いは対象外?
あと、dカードGOLDの仕様で気になることがひとつ。
認識していないドコモユーザーは意外と多く、ネットでも「ずっと損してた!」と悔しがるユーザーも少なくないようですね。
実はdカードGOLDの特典になっている「ドコモの携帯電話料金に対する高還元」は、dカードGOLDで支払うことを条件としていません。
それどころかdカードで支払っても、ドコモの携帯電話料金は「ポイント付与の対象外」となっているのです。
(※ 参考:「dカードポイントサービスに関するご注意事項」 d CARD)
ポイントの還元はdカード側からではなく、dポイントクラブからポイントが付与される仕組みになっているため、dカードGOLDの所有とドコモの携帯電話の契約さえあれば、特典を受ける条件はクリアしていることに。
つまり、dカードGOLDでドコモの携帯電話料金を支払うことはもちろんできますが、それに対してポイントの付与はないのでもったいないというわけです。
携帯電話料金は別カードで?
そうなってくるとドコモの携帯電話料金は、どのクレジットカードで支払えばお得になるのかという話になりますよね。
確かにdカードGOLDで支払えば面倒はありませんがメリットもありません。
せっかくポイントを還元できるチャンスなのにもったいない気もします。
ちなみに、この分でポイント還元できるクレジットカードを使えば、dポイントクラブからのポイントと別に他社クレジットカード分のポイントも獲得できるので、「ポイント2重取り」の形にすることができます。
これもちょっとしたお得術ですね。
…ちなみに、以前であればここから「どのカードにすればいいのか?」という話になるのですが、もうひとつ考慮すべき要素が加わったことで、この話に結論を出すのはもうひとつの要素を解説してからということになります。
スーパー還元プログラムの開始
このテーマがさらに複雑になってしまったのは、2019年6月に開始された「dポイントスーパー還元プログラム」がその理由になります。
簡単に言うとdポイント版の「SPU」みたいなものですね。
- SPUとは?
- SPUとは「スーパー・ポイント・アップ・プログラム」の略称で、楽天が提供するポイント還元率アップのお得な制度。各特定条件をクリアすれば楽天市場でのポイント倍率を10倍以上に高めることができます。
楽天ユーザーにはお馴染みのこの制度では、ポイント還元率アップの対象が楽天市場限定となっていますが、dポイントのスーパー還元プログラムでは街での利用で還元率アップというのが大きな魅力になっていますね。
(※ ただし、対象店舗で「d払い」もしくは「iD(dカード登録)」で支払う必要あり。)
このスーパー還元プログラムの条件のひとつに、ドコモの携帯電話料金をdカード(dカードGOLDでも可)で支払いすると、還元率が+1.0%上乗せされるとあります。
(※ 参考:「dポイントスーパー還元プログラム」 d POINT CLUB)
相変わらず携帯電話料金自体ではポイント還元はされませんが、この分でポイント還元率が+1.0%分上乗せされ、他の条件もクリアできれば最大+7.0%の驚くべき還元率となります。
まぁ、正直なところ単純に携帯電話料金に対してポイント還元すれば分かりやすいのですが、これをそんな風に利用するのか…という印象がありますね。
しかし、ドコモの携帯電話料金をdカードGOLDで支払うことにはこれまでメリットがなかったので、このスーパー還元プログラムによりますます「どちらがお得なの?」という話になってしまいます。
簡単な試算をしてみる
関連する要素が多くなり過ぎてユーザー次第な部分が強くなりましたが、それでもせっかくなので簡単な試算程度はしてみたいと思います。
例えばdカードGOLD、携帯電話料金5,000円、対象店舗利用1万円の場合。
携帯電話料金の直接的なポイント還元は+0.0%ですが、dポイントクラブより+10.0%の還元があるため500ポイントが付与されます。
加えて対象店舗利用分で還元率が+1.0%分追加されるため、100ポイントを追加で獲得することができますね。
これで月間獲得合計600ポイントになり、年間に換算すれば7,200ポイントに。
このように携帯電話料金と対象店舗利用料金の金額が少ないと、dポイントGOLDの特典を有効活用しても年会費さえカバーできない可能性があるのです。
携帯電話 料金 |
対象店舗 利用分 |
年間獲得合計 ポイント |
---|---|---|
5,000円 | 10,000円 | 7,200P |
5,000円 | 15,000円 | 7,800P |
5,000円 | 20,000円 | 8,400P |
6,000円 | 10,000円 | 8,400P |
6,000円 | 15,000円 | 9,000P |
6,000円 | 20,000円 | 9,600P |
7,000円 | 10,000円 | 9,600P |
7,000円 | 15,000円 | 10,200P |
7,000円 | 20,000円 | 10,800P |
いずれにしても携帯電話料金と対象店舗の利用がそれなりにないと、dカードGOLDのポイント還元やスーパー還元プログラムを駆使しても年会費のカバーすらできないケースも少なくないでしょう。
スーパー還元プログラムの導入で複雑にはなりましたが、やはり関連する利用金額が少ない場合、安易なdカードGOLDへの切り替えにはご注意。
ドコモ携帯料金に適したカード
ここまでに解説したとおり、ドコモの携帯電話料金や対象店舗の利用金額が多ければ何も迷うことはありません。
しかし、ポイント還元の基になる肝心の利用金額が少ない場合、ドコモの携帯電話料金であってもdカードGOLD以外を検討した方がいいかもしれません。
なんだかんだで楽天カード
楽天愛用者であれば楽天カードも悪くない選択肢に。
こちらも条件なしの年会費無料で基本還元率は+1.0%と高いのが魅力。
ドコモユーザーで楽天市場を利用する人は少なくないと思いますが、楽天カードなら楽天市場でのポイント還元率が+2.0%分上乗せされるのもメリットですね。
…補足ですが、楽天カードと言えば「街での利用でポイント2倍」という選択肢も以前はありました。
しかし、2019年9月開催分より携帯電話料金は「街での利用対象外」になったため、ドコモの携帯電話料金でポイントを2倍獲得することはできないことに。
(※ 基本還元率+1.0%分のポイント獲得はこれまでのとおり。)
街での利用分の対象外になってしまったのは残念ですが、それでもコスパの良い1枚として使いやすいと思います。
関連記事:「お得術!楽天カード入会ポイントを2重取りする作り方」
高還元率のリクルートカード
現状で最もおすすめしやすいのは「リクルートカード」になるでしょう。
その理由は基本還元率が「+1.2%」とお得なことに加え、年会費は永年無料と利便性の高さが魅力であること。
とにかく色々なシーンでの使い勝手が良いので、このカードはドコモの携帯電話料金用としても使いやすいと思います。
…ちなみに、リクルートカードで貯まる「リクルートポイント」は、そのままではやや使い道に困るポイントでもあります。
しかし、リクルートポイントはPontaポイントに交換可能で、Pontaポイントはdポイントに交換することもできます。
現状ではポイントの使い道に困ることは少なくなったのでご安心。
…今回はとりあえず2つのクレジットカードを紹介しましたが、dカードGOLDの特典やスーパー還元プログラムの特典を活用しきれない人は少なくないと思うので、ドコモの携帯電話料金にはこういったクレジットカードをセレクトするのもおすすめです。
関連記事:「ポイントの価値に注意…リクルートカードのデメリットとは?」